田中さんは、今、大学4年生。
でも、これから社会に出てたくさんのことを経験します。
いい会社に就職して、カッコいい車を買って、素敵なお嫁さんを見つけて結婚して、
こどもが生まれて、立派な家を買って、、、
たくさんの可能性、たくさんの友人、たくさんの希望。
未来は輝いているようです。
でも現実は、、、
ある夜、田中さんは、卒業研究でヘトヘトになりながら、帰りの電車に乗りました。
電車の中は、疲れて、死んだ魚のような目をしている人達がスマホをつついています。
ひとり暮らしをしているので、夜ごはんは松屋の牛丼で済ませました。
やっとアパートに変えると、不思議なことに、黒い、熊のような生き物が待っていました。
「おかえり」熊は言いました。「待ってたよ」
田中さんは、思いました。『なんだこいつ、別れた彼女の合鍵を拾って来たのかな?』
別れた彼女とかいいんですけど、その熊が話を続けました。
「ぼくは熊じゃないよ、悪魔のこどもなんだ。今、修行中なんだけどね。」
「名前は、あくまモンだ!よろしく!」
「ぼくのお父さんは、キリストにも会いに行ったくらい偉かったんだよ!」
田中さんは、そんなことはどうでもいいと思いましたが、ちょっと思い出しました。
聖書によると、キリストは、3回悪魔に誘惑されても、断ったんだっけな。
とにかく、早くこいつを追い出さなきゃな。キリストのように。
あくまモンは、続けます。
「キミはこれから、あと80年生きるんだ。もう決まっている。そう、102歳まで」
「長生きするんだから、その人生のうち半分をぼくにくれないかな?」
「そしたら、明日、2億円キミにやろうじゃないか!」
さて、あなたが田中さんだったら、どうしますか?悪魔のこどもと、取引しますか?
3億円に値上げしてみますか?それとも、キリストのように断って追い出しますか?
自分の人生の半分を、悪魔のこどもに渡しますか?
田中さんは、考えました。そんなに人生があるなら、半分くらいやっても、良さそうだなあ。
2億円で、なんでも買えるなあ!いいなあ!うれしいなあ!女の子にもモテるだろうなあ!
田中さんは、あくまモンに言ってみました。「4億円ならなんとか!」
あくまモンは怒って言いました。
「キミの大学はFランだから2億4千万円がいいとこだな!」
田中さんは、なんでFランだと2億4千万円なのか、訳がわかりませんでしたが、
まあ、いいか。2億4千万円を投資して、UFO銀行の投資信託で儲ければいいや!と思いました。
悪魔のこども、あくまモンとの取引が成立しました。
その晩は、どっと疲れが出て、泥のように眠りました。
あくまモンは、さっさと九州に帰っていきました。
翌日、田中さんは目が覚めると、少しめまいがしました。
『昨日の夜、変な夢をみたな。アパートに変な奴が来た夢』
起き上がると、さらに足が痛く歩きづらくなっていました。
でも、机の上に、1万円の札束が山のように置いてあるのを見て、心臓が飛び出ました!
『待てよ、偽札かもしれない』
でも、札束は、本物の日本銀行券でした!全部番号が同じで警察に捕まるというオチもなく、
2億4千万円が一夜で手に入ってしまったのです!
札束を数える手が震えました。ひと束100万円だから、240束あればいい。
あれ?2億円ピッタリしかない!
『まあ、悪魔のこどもだからしょうがないか。金持ち喧嘩せずって言うしなあ。』
田中さんは、立ち上がって歯を磨きに洗面台に行きました。
しかし、
田中さんの目の前の鏡に映っていたのは、顔に深くシワが刻まれて、髪の毛が一本もない、
ハゲたおじいさんだったのです。
そう、田中さんは、人生の半分と髪の毛を全部取られて、62歳になっていたのでした。
労働者は、時間を差し出して、雇用者のために労働し、利益を出して、
その利益のわずかな部分を給料としてもらいます。
時間をお金と引き換えの労働三昧の生活。そして、自由になったときは老人になっています。
日本人は、経営者のために一生懸命、我慢して働きます。
経営者は、あなたの賃金を決めます。
あなたの時間も経営者が使います。それはあなたの人生ではないかもしれません。
あなたの稼いだお金の大部分は経営者が使います。
毎晩、高級料亭でふぐを食べているかもしれません。
それから、会社の株主も、合法な手段で、あなたの稼いだ分からお金をかすめとります。
定年目指して頑張る。年金のために頑張る。
40年間我慢できますか?
我慢して、気がついたら、自由になったけど、65歳。もう若くはありません。
日本人は、組織に対して従順でおとなしい国民です。
始業の30分前までには来るように!
残業代出せないから、時間になったらタイムカード押しなさい。そしてまた働きなさい。
飲み会は、必ず出席しなさい。会費5千円自分で出しなさい。
社員旅行、行かなきゃならない。土日がまるつぶれ。旅行から帰って来た次の日は仕事。
おとなしい人からは、労働力を搾取できるんです。
「みんなそうしてるんだから、同じことしなさい」と言われてませんか?
9
🔽この記事が役に立ったと思ったらクリックしてください